抄録
症例は71歳の男性で,2014年5月頃から意識障害が頻回に出現し,低血糖発作のため緊急入院し,膵尾部原発の多発肝転移を伴う神経内分泌腫瘍,悪性インスリノーマと診断された.根治切除不能であり,ジアゾキサイドによる血糖コントロールを行ったが,副作用による血小板減少をきたし継続不能となった.内科的治療で制御不能となったため,血糖コントロール目的で原発巣および最大の転移巣である肝S6病変を含む減量手術を施行した.病理組織学的検索にて膵尾部腫瘍はインスリノーマに矛盾しない所見で,Ki-67 index 41%と高値であり,肝転移巣も同様の所見であった.術後,低血糖発作をきたすことなく自宅退院となった.退院後,残存腫瘍の増大と低血糖発作が再燃したため,スニチニブによる治療を開始した.集学的治療により血糖コントロール良好で外来加療を継続していたが,術後1年4カ月に原疾患増悪に伴う肝性脳症を発症し死亡した.