抄録
今回われわれは,膵十二指腸動脈瘤破裂に対し経カテーテル的動脈塞栓術で止血後,遅発性十二指腸狭窄を合併した1例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.第1病日,後下膵十二指腸動脈瘤破裂に対し経カテーテル的動脈塞栓術で止血した.経過は良好であったが第14病日より嘔吐が出現し,第16病日に行った経管的十二指腸造影検査で十二指腸下行脚に高度狭窄を認めたため,遅発性十二指腸狭窄と診断した.保存的療法を継続し後腹膜血腫は著明に縮小したが狭窄症状の改善がなかったため,第48病日に開腹手術を施行した.十二指腸および周囲後腹膜組織に高度線維化を認め,後腹膜血腫除去後の術中十二指腸造影検査でも通過障害が残存したため,胃空腸バイパス術を行った.自験例のように,後腹膜組織の線維化を原因とする遅発性十二指腸狭窄は保存的治療に抵抗性を示すことがあるため,胃空腸バイパス術を含む外科的治療を要する可能性が高いと考える.