日本臨床外科学会雑誌
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症例
複合型食道神経内分泌細胞癌の1例
田中 綾平松 聖史雨宮 剛後藤 秀成関 崇新井 利幸酒井 優
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2018 年 79 巻 7 号 p. 1445-1452

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抄録

症例は62歳の男性で,2012年7月に嚥下困難感を主訴に受診し,精査にて胸部中部食道神経内分泌細胞癌(cT3N1M0 cStage III)と診断された.シスプラチン/イリノテカンによる化学療法が計4クール施行された.化学療法後の効果判定では,リンパ節病変は完全奏効と判定した.上部消化管内視鏡検査にて主病変は瘢痕化し,その近傍に不染帯のみを認めた.生検では扁平上皮癌成分のみで,神経内分泌細胞癌成分は消失していた.食道神経内分泌細胞癌の複合型で扁平上皮癌成分の遺残と診断し,2013年4月に腹臥位胸腔鏡下食道亜全摘術+3領域リンパ節郭清術を施行した.切除標本の病理組織所見でも,原発巣に神経内分泌細胞癌の遺残はなく,扁平上皮癌のみが認められたが,郭清リンパ節には神経内分泌細胞癌の転移を認めた.術後4カ月で神経内分泌細胞癌が脳に転移し,その後の集学的治療の甲斐なく診断後1年4カ月で永眠した.

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