日本臨床外科学会雑誌
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症例
自己免疫性肝炎を有し術後化学療法中に肺結核を発症した直腸癌の1例
中本 裕紀横山 良司西川 眞武冨 紹信
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キーワード: 結核, 化学療法, ステロイド
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2018 年 79 巻 7 号 p. 1485-1492

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抄録

症例は78歳,男性.自己免疫性肝炎に対してプレドニゾロン10mg/日を内服中であった.直腸癌に対して腹腔鏡下Miles手術を施行し,T3,N1,M0,stage IIIaと診断した.術後1年目CTで遠隔転移を認め,Bevacizumab+FOLFILI療法を開始した.9コース後に発熱を主訴に来院.肺炎と診断し抗菌薬治療を開始した.症状改善なく入院11日目に喀痰による抗酸菌染色が陽性となり,結核治療施設に転院とした.転院後に抗結核薬の内服を開始し,2カ月後に喀痰塗抹検査が陰性になり退院となった.抗結核薬の内服は合計半年間を予定している.
潜在性結核感染を背景に化学療法,ステロイド内服等により免疫抑制を生じ結核症再燃をきたした可能性がある.日常診療時に結核感染を鑑別におき,結核発症リスクを有する合併症・薬剤を把握し,定期的な検査・予防的治療の検討を行う必要がある.

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