日本臨床外科学会雑誌
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症例
壁外非連続性癌進展病巣による腎盂破裂を契機に発見された直腸癌の1例
外舘 幸敏高野 祥直河村 英恭鈴木 伸康寺西 寧佐久間 秀夫
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2018 年 79 巻 8 号 p. 1740-1746

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抄録

症例は34歳,女性.腹痛と便秘を主訴に近医を受診した.CTにて直腸癌と左上部尿路外溢流の所見を認め,当院に紹介となった.当院で下部消化管内視鏡検査を行い,直腸S状部癌と診断した.逆行性腎盂造影により腎盂から造影剤の漏出を認めたため,腎盂破裂と診断した.術中には,原発巣と非連続性の結腸間膜内腫瘤が左尿管と左総腸骨動脈へ浸潤していることが確認され,それにより尿管閉塞をきたし,腎盂破裂を起こしたものと考えられた.高位前方切除および左尿管と左総腸骨動脈を一部合併切除した.病理検査で尿管・総腸骨動脈へ浸潤していた結節は,リンパ節構造のない壁外非連続性癌進展病巣(EX:extramural cancer deposits without lymph node structure)であった.今回,EXによる腎盂破裂を契機に発見された直腸癌の1例を経験したので報告する.

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