日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した手術既往のある胆嚢結石の3例
清水 芳政鈴木 和光関 太要小澤 陽介立川 伸雄捨田利 外茂夫
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 79 巻 8 号 p. 1758-1763

詳細
抄録

手術既往のある胆嚢結石症例に対し,単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を3例に実施した.症例1は開腹胃切除と帝王切開と虫垂切除,症例2はCrohn病に対し腹腔鏡補助下回盲部切除およびイレウスに対し腹腔鏡補助下癒着剥離小腸部分切除,症例3は開腹胃切除の既往があった.症例1,2は臍周囲および上腹部に広範な癒着を認めた.まず,直視下に臍周囲の癒着を剥離しマルチチャンネルポートを装着,次いで,腹腔鏡下に上腹部と胆嚢周囲の癒着を剥離し胆嚢を摘出した.症例3は術中胆嚢動脈の損傷による出血をきたしたが,臍部ポートからのガーゼの出し入れを迅速に行い出血部を視認し止血した.
単孔法は従来法や細径法と比較し技術的難易度が高い.しかし,臍部の癒着を直視下に剥離することや,最小限の剥離範囲で胆嚢に到達でき,出血などの合併症においてはポートの脱着によりガーゼや止血剤の出し入れが容易に行え,緊急時への対応にも優れていると考えられた.

著者関連情報
© 2018 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top