日本臨床外科学会雑誌
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症例
Corynebacterium属感染による肉芽腫性乳腺炎の2例
藤井 雅和野島 真治池 創一金田 好和須藤 隆一郎
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2018 年 79 巻 9 号 p. 1809-1815

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抄録

肉芽腫性乳腺炎は稀な良性・慢性炎症性疾患であり,理学所見・画像上悪性所見に類似した所見を呈する.近年Corynebacterium(以下C. )属の感染が原因として関与している可能性が示唆されている.症例1:37歳,女性.主訴は右乳房痛.外科的生検を施行し,細菌培養でC. tuberculostearicumが検出された.病理組織学的検査所見は,肉芽腫性乳腺炎と診断された.症例2:38歳,女性.主訴は左乳房痛.外科的生検を施行し,細菌培養でC. kroppenstedtiiが検出された.病理組織学的検査所見は肉芽腫性乳腺炎と診断された.まとめ:肉芽腫性乳腺炎は再燃や再発を繰り返す例もあり,良性疾患であるが治療に難渋することも多い.近年C. 属の感染が原因の可能性として示唆されており,検体の無菌的採取や脂質であるTween80を加えた培地での培養などを考慮する必要があると考えられた.

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