日本臨床外科学会雑誌
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症例
18歳女性に発生した乳腺境界型葉状腫瘍の1例
太治 智愛諏訪 裕文山口 あい山本 鉄郎伊藤 寛朗
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キーワード: 葉状腫瘍, 若年, 断端
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2018 年 79 巻 9 号 p. 1816-1819

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抄録

乳腺葉状腫瘍は乳腺腫瘍の1%未満と稀な線維上皮性腫瘍で,診断時年齢の中央値は45歳である.18歳で乳腺境界型葉状腫瘍と診断された1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
12歳から徐々に増大する10cmの右乳房腫瘤を主訴に受診.腫瘤は 10×9cmで弾性硬・可動性良好で,超音波検査では楕円形で境界明瞭・辺縁平滑な低エコー腫瘤であった.針生検では線維上皮性腫瘍で,線維腺腫と葉状腫瘍の鑑別は困難であった.巨大線維腺腫または葉状腫瘍の術前診断で,全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は,最大径10cmの境界型葉状腫瘍で,断端は陰性(0.1mm)であった.
葉状腫瘍と診断された場合は1cm以上のマージンをつけたwide excisionが推奨されているが,本症例のような若年女性では,整容性や授乳機能温存が重要であり,追加切除を行わずに慎重なフォローアップを行うことも選択肢と考えられる.

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