日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃後壁と十二指腸断端を器械吻合した12歳児鈍的十二指腸球部完全離断の1例
佐藤 璃子金子 直之池田 理恵高田 護
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2018 年 79 巻 9 号 p. 1858-1863

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抄録

鈍的十二指腸損傷は比較的稀で,中でも小児の報告は少ない.十二指腸損傷は合併症発生率と死亡率ともに比較的高く,手術法について議論が多いところである.今回われわれは,12歳男児の十二指腸球部の完全離断に対して,胃・十二指腸断端を器械吻合で側端吻合し,順調に経過した1例を経験したので報告する.患児は乗用車乗車中の受傷で救急搬送され,腹痛を訴えていた.造影CTで肝周囲にfree airを認め,十二指腸周囲には造影剤漏出を伴う血腫がみられた.十二指腸損傷の診断で緊急開腹すると球部完全離断を同定でき,胃後壁と球部断端を自動吻合器で側端吻合した.術後は合併症なく経過し,第15病日に独歩退院となった.本症例では年齢を考慮し,生理的ルートで再建することにより救命しえた.本術式は検索した限り過去に報告がないが,症例を慎重に選択すれば十二指腸球部断裂に対して選択肢の一つとなり得ると考える.

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