日本臨床外科学会雑誌
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症例
根治術後9年で局所再発巣を切除した十二指腸GISTの1例
神野 孝徳森岡 淳小林 聡加藤 健宏高木 健裕堀 明洋
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2018 年 79 巻 9 号 p. 1864-1869

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抄録

症例は77歳の男性で,2005年に十二指腸水平脚のgastrointestinal stromal tumor(以下,GIST と略記)に対し十二指腸楔状切除術を施行した.その後再発を認めず,2011年に経過観察を終了したが,2014年に貧血を指摘され当科紹介となった.精査にて十二指腸水平脚に腫瘍を認め,局所再発を疑い十二指腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査は初回と類似の組織像を呈し,前回切除部近傍での発生であるため十二指腸GISTの局所再発と診断した.5年以上の晩期再発をきたした十二指腸GISTの本邦報告例の検討から,核分裂像数が少なくかつ腫瘍径が大きい症例では晩期再発を起こす可能性があり,長期の経過観察が必要である.再発GISTの治療は原則イマチニブの投与だが,自験例のように切除することで予後の改善が期待される症例もあり,今後その適応となる症例の臨床像を明らかにしていく必要がある.

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