日本臨床外科学会雑誌
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症例
鼠径部良性多嚢胞性腹膜中皮腫の1例
横田 太郎伊達 健治朗前原 直樹井上 輝彦
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2018 年 79 巻 9 号 p. 1950-1955

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抄録
症例は53歳,女性.右鼠径部腫瘤を主訴に来院した.CTで右鼠径部嚢胞性腫瘍および外鼠径ヘルニアと診断し手術を行った.ヘルニア嚢を高位結紮後に腫瘍を切除しヘルニア修復術を施行した.病変は多嚢胞性充実性腫瘍で,病理組織学的に嚢胞内壁を覆う細胞は中皮細胞であった.免疫化学染色でcalretinin,cytokeratin陽性かつEMA陰性で,良性多嚢胞性腹膜中皮腫と診断した.術後2年,再発を認めていない.
良性多嚢胞性腹膜中皮腫は稀な疾患であるが,術後再発が多く根治的切除が必要とされる.鼠径部の良性多嚢胞性腹膜中皮腫は鼠径ヘルニアの合併が多いためヘルニアの慢性炎症の関与が示唆される.自験例を含めた5例の鼠径部良性多嚢胞性腹膜中皮腫の内4例に術後再発を認めなかった.鼠径部発症例は腫瘍が体表近くで限局性に増大するため,ヘルニアの存在と共に早期に発見されやすく根治的切除となる可能性がある.
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