日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に診断した特発性大網出血の1例
中橋 剛一待木 雄一広松 孝高良 大介柴田 耕治伴 聡
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キーワード: 大網出血, 特発性, 術前診断
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2018 年 79 巻 9 号 p. 1945-1949

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抄録
症例は64歳,男性.夜間より腹部全体に痛みが出現し,翌日の昼頃に急激に腹痛が悪化したため救急搬送となった.理学所見では腹部全体に強い圧痛を認めた.腹部CTでは肝・脾周囲からDouglas窩に至るまで広範囲に腹水を認めた.臍近傍の腹壁直下に約6cmの腫瘤を認め,内部には一部造影剤の漏出と思われる高吸収域が認められた.画像上,出血源は胃大網動脈と考えられた.大網出血もしくは消化管間葉系腫瘍の破裂を疑い,同日緊急手術を施行した.手術所見では腹腔内に約2,000mlの血液貯留と5cmほどの大網腫瘤が認められ,大網部分切除を施行した.病理組織検査では出血と線維化がみられたのみで,腫瘍や血管病変は認めず,特発性大網出血と診断した.特発性大網出血は稀な疾患であり,術前診断に難渋することも多い.今回われわれは,出血源を術前診断しえた稀な特発性大網出血の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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© 2018 日本臨床外科学会
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