抄録
症例は34歳,男性.骨髄異形成症候群に対し骨髄移植後,特発性血小板減少性紫斑病に対する脾臓摘出後に,門脈右枝・脾静脈に門脈血栓症を発症した.経過観察中,腹部CTで肝外側区域S2に10mmの腫瘤を認め,EOB-MRIで動脈相,門脈相で高信号,肝細胞相で内部低信号,辺縁高信号を呈した.約4カ月後に15mmと急速な増大を認め,悪性疾患が否定できず,腹腔鏡下肝S2部分切除を施行した.病理組織学的検査では中心部に瘢痕様組織と軽度の核の大小不同を認める肝細胞様細胞が腫瘤を構成し,免疫染色でCK7陽性細胆管とh-caldesmon陽性異常筋性血管の増生を認め,限局性結節性過形成と診断した.本症例は中分化型肝細胞癌と同等の腫瘍体積倍加時間を有する稀な限局性結節性過形成であり,脾臓摘出直後に出現,増大しており,門脈血栓に伴う肝内血流の変化が限局性結節性過形成の発症と増大に関与している可能性が示唆された.