抄録
症例は84歳,男性.肺炎発症時に施行した単純CTで,肝尾状葉に腫瘤像を偶然指摘されたため当科に紹介.血液検査所見では,AFP:1,636.3ng/ml,PIVKA-II:1,927.0mAU/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた.造影CT検査では,尾状葉の腫瘤は約4×4cm大で,造影早期に濃染し造影後期にwash outする腫瘤として描出され,肝細胞癌と考えられた.画像上,門脈本幹は肝門で2本に分岐し,それぞれ右葉前区域・後区域に流入し,左門脈は欠損していた.肝左葉への門脈血流は,門脈前区域枝末梢から肝実質内を介して左葉に至る血管のネットワークが確認された.また,プリモビスト造影MRIにて,他に病変を認めないことを確認した.以上から,尾状葉単発肝細胞癌の診断で尾状葉全切除術を施行した.術後経過は良好で,合併症なく術後9日目に退院となった.稀な門脈分岐異常を伴った尾状葉全切除を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.