2019 年 80 巻 10 号 p. 1824-1830
乳糜心膜症とは乳糜が胸腔内ではなく,心膜腔内に漏れる比較的まれな疾患である.今回われわれは,原因不明の原発性乳糜心膜症に対し胸腔鏡下胸管クリッピング術と心膜開窓術を行った症例を経験した.症例は16歳,女性.2016年,高校入学時の健診で心拡大を指摘.心エコーで中等量の心嚢液貯留を認めた.体動時胸部不快感が出現したため,他院で心嚢ドレナージを施行.心嚢液検査で乳糜心膜症と診断.脂肪制限食の食事療法を行ったが再燃したため,東海大学医学部付属八王子病院を紹介受診.2回リンパ管造影を施行したが軽快せず.2017年に胸腔鏡下胸管クリッピング術および心膜開窓術を施行.手術入室4時間前にバニラアイスを摂取.また,全身麻酔導入前にエコー下に心嚢ドレナージにて乳糜心嚢液を560ml排液し,麻酔および手術に臨んだ.術後経過は問題なく,6病日目に常食で退院.手術半年後の造影CT,1年11カ月後の心エコーでも乳糜心膜症の再燃を認めていない.