2019 年 80 巻 2 号 p. 261-265
症例は30歳,女性.全身浮腫,心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した.精査で上部消化管穿孔,うっ血性心不全を認め,外科紹介となり,同日臨時手術を施行した.十二指腸に潰瘍穿孔を認め,大網充填,腹腔ドレナージを施行した.術後にみられた高度の頻脈,採血検査などから甲状腺クリーゼが疑われ,無機ヨードを経鼻胃管より投与した.その後も循環動態が安定しないため,大学病院高度救急救命センターへ転院搬送された.全身状態の管理,抗甲状腺薬の調整を行い治療が継続された.状態改善の後,初回手術後18日目に当院へ帰院し,48日目でリハビリ目的に他院に転院した.甲状腺クリーゼは,甲状腺機能亢進症が極端に増悪した状態で早期に治療を開始しなければ致死的となる疾患である.今回われわれは,未治療の甲状腺機能亢進症患者が甲状腺クリーゼを発症すると同時に十二指腸潰瘍穿孔を合併したが救命しえた症例を経験した.