2019 年 80 巻 3 号 p. 581-585
症例は75歳,女性.既往歴はC型肝炎,クモ膜下出血.急激な腹痛を主訴に近医を受診し,大腿ヘルニアを疑われたため4時間後に当院へ搬送となった.圧痛は軽度で腹膜刺激症状は認めなかった.CTを施行し,右閉鎖孔ヘルニアRichter型嵌頓と診断した.血液検査では腸管虚血を示唆する所見はなかった.発症から早期であり腸管壊死には至っていないと考え,非観血的用手整復を超音波検査下に行った.整復後にCT撮影し腸管の還納を確認した.整復3日後に待機的に鏡視下腹膜外経由ヘルニア根治術(TEP法)を施行した.腹膜外経由で右閉鎖孔のヘルニア嚢を反転し,円靱帯を結紮切離してメッシュを展開しヘルニアを修復した.術後経過は良好で術後3日目に退院した.閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対して非観血的用手整復後に待機的TEP法で治療し良好な結果を得られたため,考察を加えて報告する.