日本臨床外科学会雑誌
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症例
ポリスチレンスルホン酸カルシウム服用中に発症したS状結腸穿孔の2例
加来 秀彰藤原 省三阿南 勝宏赤木 由人
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2019 年 80 巻 5 号 p. 943-947

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抄録

ポリスチレンスルホン酸カルシウム(calcium polystyrene sulfonate:以下CPS)の重篤な合併症として便秘等に起因すると考えられる腸管穿孔,腸管壊死がある.慢性腎臓病,高カリウム血症に対してCPSを内服中にS状結腸穿孔,汎発性腹膜炎をきたした2症例を経験した.症例1は87歳,女性.腹部膨満感,下腹部痛を主訴に来院.汎発性腹膜炎の診断でHartmann手術を施行した.S状結腸に潰瘍を認め,一部は穿孔し,潰瘍底にはCPS結晶を認めた.術後に敗血症,DICを併発し集学的治療を要したが,軽快し自宅退院した.症例2は86歳,女性.下腹部痛,嘔吐を主訴に受診.汎発性腹膜炎の診断でHartmann手術を行った.S状結腸の穿孔部にはCPS結晶を認めた.腹膜炎は制御できたが,術後ARDSを発症し呼吸不全の進行により死亡した.CPS投与の際には排便コントロールに留意する必要がある.

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© 2019 日本臨床外科学会
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