日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した甲状腺乳頭癌膵転移の1例
福島 元太郎代田 智樹西野 仁惠土方 陽介永川 裕一土田 明彦
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2019 年 80 巻 6 号 p. 1054-1059

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抄録

症例は73歳,女性.甲状腺乳頭癌に対して甲状腺全摘術,頸部リンパ節郭清が施行された.術後5年目に多発肺転移,7年目に気管内転移が出現した.気管内転移は気管楔状切除術が施行され,多発肺転移に対してはthyroid stimulating hormone(TSH)抑制療法が継続された.術後14年目に腹部CT検査にて膵尾部に腫瘤を認め,超音波内視鏡ガイド下針生検にて甲状腺乳頭癌膵転移の診断となった.膵転移は急速な増大傾向を示し,TSH抑制療法に抵抗性の腫瘍と考えられたため,腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.術後合併症なく10日目に退院,術後12カ月生存中である.転移性膵腫瘍の中でも甲状腺が原発臓器の報告は稀であり,多発転移や他臓器転移を合併することが多いため外科的切除が適応される症例も少ない.今回われわれが施行した腹腔鏡下膵体尾部切除術は,甲状腺癌膵転移に対する完全鏡視下手術の初めての報告であり,文献的考察を加え報告する.

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© 2019 日本臨床外科学会
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