2019 年 80 巻 8 号 p. 1470-1474
症例は89歳,男性.検診の上部消化管内視鏡検査で,胸部食道に0-II c病変を認め,生検で中分化型扁平上皮癌と診断された.胸部食道扁平上皮癌(T1bN0M0:Stage I)に対し,年齢を考慮し,根治的放射線治療(60Gy)を施行し,その後の内視鏡検査で再発を認めず経過していた.治療終了約1年後に腹痛が出現し,CTで小腸の腫瘤性病変による腸閉塞と診断され,緊急手術を施行した.回腸に腫瘍性病変を認め,同部より口側小腸の拡張を認め,また腫瘍より肛門側の回腸にも結節性病変を認め,同部を含め小腸切除術を施行した.病理組織は腫瘍性病変・結節性病変ともに扁平上皮癌であり,食道扁平上皮癌の小腸転移と考えられた.本症例は食道表在癌に対して根治的放射線治療が奏効したが,その後の再発として小腸転移による腸閉塞をきたした.放射線単独療法では,食道表在癌症例であっても,原発巣以外の再発にも留意した経過観察が重要と考えられた.