2019 年 80 巻 9 号 p. 1640-1645
症例は49歳,女性.黒色便と意識消失を主訴に,精査目的に当院へ紹介受診となった.上部消化管内視鏡検査で胃体中部前壁に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認めた.生検では悪性所見は得られなかったが,胃GISTを疑い手術の方針となった.術中リンパ節転移や遠隔転移を認めず,ロボット支援下噴門側胃切除術を施行し,観音開き法により再建した.合併症は認めず,7病日に退院となった.腫瘍は最大径45mmで,病理結果ではKIT陰性,CD34およびDOG-1陽性であった.核分裂像は3/50HPFで,腫瘍壊死や腫瘍破壊は認めなかったが,左胃動脈に沿う小彎側リンパ節に転移を認めた.術後,逆流性食道炎症状は認めず無再発で経過観察中である.胃GISTのリンパ行性転移は稀であるが,リンパ節郭清により予後が改善する可能性がある.ロボット支援下手術ではデバイスの自由度が大きく,特に再建で有用であった.