2019 年 80 巻 9 号 p. 1726-1733
症例は54歳の女性で,膣入口部の腫瘤を自覚し,当院婦人科を紹介受診.穿刺吸引細胞診の結果,直腸gastrointestinal stromal tumorが疑われ,消化器外科へ紹介となった.骨盤CT・MRI検査から,骨盤内で膣壁と直腸前壁の間に矢状断で長径10cmにわたる充実性腫瘍を認めた.術前化学療法が検討されたが,遺伝子検査でKIT遺伝子のexon 9に変異を認め,本人や家族とも相談して,術前化学療法を施行せず外科切除の方針となった.開腹腹会陰式直腸切断術,膣後壁合併切除を施行し,膣後壁は形成外科医師らにより左臀溝皮弁を用いた再建術を施行した.術後合併症なく15病日に退院し,現在再発兆候を認めない.直腸gastrointestinal stromal tumorに対し,遺伝子検査を施行して治療方針を決定し,膣後壁の欠損部に対する再建術として臀溝皮弁が有用であった1例を経験したので報告する.