2019 年 80 巻 9 号 p. 1764-1769
症例は76歳,男性.以前より下痢症状があったが,ここ3カ月前より症状が著明となり近医を受診.同院にて下部消化管内視鏡検査を施行され,直腸およびS状結腸にほぼ全周性の腫瘍を指摘.生検を施行され,各々の腫瘍は比較的分化度の高い腺癌であった.当院へ精査加療目的にて紹介入院.画像上明らかな遠隔転移は認めなかったが,横行結腸および下行結腸にも造影効果の強い不整形の壁肥厚像を認め,横行結腸部分切除および広範囲左側結腸を含む腹会陰式直腸離断術を施行.病理組織学的に4箇所に発生した腫瘍はすべて3型で,それぞれ漿膜下(直腸では固有筋層を越える)に達する管状腺癌で,高分化型主体であった.
今回,大腸に同時性4多発進行癌の1例を経験した.術前に確定診断には至らなかったが, 同時性早期食道癌との多重癌であった.術後比較的良好な経過をたどっており,若干の文献的考察を加え報告する.