日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前化学療法中に高アンモニア血症による意識障害を生じた食道癌の1例
堀川 大介長谷川 公治合地 美香子大谷 将秀庄中 達也角 泰雄
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2020 年 81 巻 10 号 p. 2016-2021

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抄録

5-FUによる高アンモニア血症は,稀であるが重篤な副作用である.大腸癌での報告は散見されるが,食道癌では少ない.食道癌の術前化学療法である5-FU+シスプラチン療法(以下:FP療法)中に高アンモニア血症を伴う意識障害をきたした症例を経験したので報告する.

症例は67歳,男性.受診3カ月前より嚥下時閉塞感,嘔吐を自覚し,前医で食道扁平上皮癌と診断された.LtAe,70×30 mm,3型,SCC,cT3,cN3,cM0,cStage IIIと診断し,術前化学療法(FP療法: 5-FU 第1-5病日,CDDP 第1病日)の方針となった.治療開始後,第3病日早朝より傾眠傾向であった.その後,徐々に意識レベルが低下しJCS III-200まで増悪した.血液検査で血中アンモニア濃度132μg/dlと高値であり,5-FUによる高アンモニア血症を伴う意識障害と診断した.治療として,5-FU投与を中止し,補液,分岐鎖アミノ酸製剤を開始した.結果,速やかに意識レベルは改善した.2コース目は5-FUを50%減量,ラクツロース内服と分岐鎖アミノ酸製剤を併用することで施行可能であった.胸腔鏡下食道亜全摘術および胃管再建術を行うも,転移リンパ節(No.106tbL,106recL)の気管浸潤を認め,R2切除となった.術後1日目より経腸栄養を開始し,術後7日目で食事開始となり,術後19日目に退院した.自験例は,貧血,低アルブミン血症および骨格筋量低下が高アンモニア血症の誘因となった可能性が考えられた.

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