日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性肺癌と鑑別が困難で肺葉切除を行った早期胃癌肺転移の1例
白藤 智之永安 武中村 司朗田口 恒徳中島 正洋
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2020 年 81 巻 10 号 p. 2011-2015

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抄録

症例は79歳,男性.2013年11月に体重減少にて近医を受診.原因不明で2014年1月に当院内科へ紹介.胃内視鏡にて体上部後壁にII c,体下部にII cの多発病変を認め,生検にていずれも中分化型腺癌の診断,当科へ紹介となった.術前の胸部CTにて右下葉に約4.0cmの腫瘤および肺門リンパ節腫大を認めた.喀痰細胞診にて腺癌,PET-CTでは肺腫瘍本体とNo. 7・11iに集積がみられたが,その他には転移所見認めなかった.3カ月前の近医での胸部CTにて右下葉の同部位に1cmの腫瘤を認めたがリンパ節腫大はなく,早期胃癌および原発性肺癌の診断を行った.まず,2014年2月に胃全摘術を施行,病理所見では中分化型腺癌でstage I aの早期であった.続いて,二期的に6週後胸腔鏡補助下右下葉切除術を施行,病理所見にて中分化型腺癌で肺胞置換型の所見はなく免疫染色で胃癌転移と診断した.切除するに至った稀な早期胃癌の同時性肺転移症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.

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