2020 年 81 巻 11 号 p. 2159-2165
目的:下部消化管穿孔症例において周術期合併症予測因子として術前prognostic nutritional index(PNI)の有用性を検討した.
方法:2010年1月から2016年12月の7年間に緊急手術を施行した下部消化管穿孔77例を対象とした.合併症はClavien-Dindo分類で評価し,grade III以上を合併症群,II以下を非合併症群としてPNIを比較し,合併症発症に対するPNIのcut-off値を求めた.
結果:合併症群でPNIが有意に低値であった(38.4 vs.42.7,p=0.020).Cut-off値は30と設定され,PNI≧30を高値群(14例),PNI<30を低値群(63例)として比較すると低値群で創部感染(p=0.090)と急性腎不全(p=0.001)が多い傾向を認めた.
結語:下部消化管穿孔症例における術前PNIが周術期合併症発症の予測因子になりうる可能性が示唆された.