日本臨床外科学会雑誌
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症例
縦隔腫瘍と鑑別を要した奇静脈瘤の1例
西平 守道荒木 修苅部 陽子千田 雅之
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2020 年 81 巻 11 号 p. 2192-2195

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抄録

稀な疾患である特発性奇静脈瘤を経験した.症例は76歳,女性.胸部異常陰影を指摘され当院へ紹介となった.単純CTで縦隔に腫瘤を認めた.超音波気管支鏡検査で血管病変が疑われたため,造影CT・MRIを施行した.病変は奇静脈と連続して上大静脈との合流部近傍に瘤状に存在しており,奇静脈瘤であった.瘤内に血栓を認めなかったが,将来的な血栓症や肺塞栓が危惧され,胸腔鏡補助下に瘤の切除を行った.特発性奇静脈瘤では無症状であることが多く経過観察が可能なことも多いが,血栓形成や肺塞栓症の報告もあり症例ごとに手術適応を検討すべきであると思われた.

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