2020 年 81 巻 2 号 p. 282-286
症例は68歳,男性.高血圧症があり,内服加療中.7月の猛暑日,屋外労働後に著明な発汗,起立不可,低血圧,徐脈となり当院へ搬送された.搬送時はJCS I-3,脈拍42回/分,血圧72/44 mmHg,SpO2測定不可とショックバイタルで,病歴と身体所見から熱中症と診断し,乳酸リンゲル液を投与しバイタルは速やかに安定,症状も改善傾向となった.血液検査でBUN 36.0mg/dL,クレアチニン 2.32mg/dLと中等度の腎障害を,腹部CTでは肝内門脈ガスを認めた.以上より,熱中症III度と肝内門脈ガス血症と診断,入院加療となった.翌日には腎機能障害は改善したものの腹痛が増強しCTを再度施行,左側横行結腸に限局性の腸管気腫,周囲の脂肪組織の濃度上昇と腹水貯留を認めた.腸管壊死と診断し同日,横行結腸部分切除術を施行した.熱中症から壊死型虚血性腸炎を発症し腸管切除を要した症例は比較的稀で,若干の文献的考察を加え報告する.