2020 年 81 巻 2 号 p. 287-291
症例は23歳の男性で,気管軟化症,拡張型心筋症,Duchenne型筋ジストロフィーの既往があった.6年前に喀痰による気道閉塞で心肺停止をきたし蘇生したが,後遺症に無酸素脳症を認め,意思疎通は困難となった.胃瘻造設,気管切開も行い,人工呼吸器から離脱できない状態であった.今回,腹部膨満感を認めたため精査を行い,横行結腸癌による腫瘍性イレウスと診断した.上部イレウス管と大腸ステント留置により腸管の減圧を得たため,年齢と家族の手術希望を考慮し,待期的に手術を行う方針とした.結腸右半切除術,D2郭清を施行した.筋ジストロフィーの患者に手術を行う際は,筋弛緩薬の効果発現に時間がかかることがあり,注意を要する.術後合併症は特に認めず,術後第11日目に退院となった.筋ジストロフィー患者に合併した横行結腸癌の手術症例は非常にまれであり報告する.