2020 年 81 巻 2 号 p. 367-373
症例は67歳,女性.膀胱癌術前精査のCTにて左横隔膜下に21mm大の嚢胞性病変を偶発的に指摘された.MRIやPET検査を追加したが術前診断困難であり,後腹膜腫瘍として診断的治療目的に腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.病理組織で後腹膜腫瘍は22×17×5mm大,線毛上皮に内腔が裏打ちされた嚢胞状病変であり,壁に平滑筋,粘液腺,軟骨を認めることから気管支原性嚢胞と診断された.気管支原性嚢胞は胎生期の前腸由来の病変で,気管支形成期に生じる先天性嚢胞の一種である.大多数は肺内や後縦隔に発生し,後腹膜に発生することは稀である. 今回われわれは偶発的に左横隔膜下に発見され,腹腔鏡下手術にて切除した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.