日本臨床外科学会雑誌
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症例
早期に胸管結紮術を選択した食道癌術後乳糜胸の1例
田部 俊輔星野 敢早田 浩明外岡 亨郡司 久鍋谷 圭宏
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2020 年 81 巻 3 号 p. 455-459

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抄録

症例は72歳の女性で,食道癌に対してESD治療を行ったが術後半年目に局所再発をきたしたため,食道癌根治術を施行した.術翌日から胸腔ドレーンの排液量が1,000ml/日を超え,白濁をきたし乳糜胸の診断となった.サンドスタチン,エホチールにて治療を開始するも改善が得られず,サンドスタチンの副作用である嘔気により投与継続が困難となった.外科治療を行う方針とし小開腹,腹腔鏡補助下経裂孔的に胸管結紮術を施行した.術後は著明に胸腔ドレーン排液量が減少し,再手術後2日目には排液量は500ml/日以下となった.順調に経過し,食道癌根治術から18日目に退院となった.食道癌術後の乳糜胸に対しては初期治療として保存的加療が選択されること多いが,有効でない場合には外科治療を含めた侵襲的処置が選択される.再手術は低侵襲とは言えないが,早期に介入することにより在院日数を減らし食事開始までの期間を短縮し得ることから,適切な治療方針の転換が重要であると考えられた.

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