日本臨床外科学会雑誌
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症例
噴門部癌術後のアミロイドーシスとNOMIの合併による空腸壊死の1例
柴崎 正幸増田 晃一伊地知 正賢久保田 啓介日下 浩二三浦 英明阿部 佳子
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2020 年 81 巻 3 号 p. 493-499

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抄録

80歳の男性で,噴門部癌術後6日後にアミロイドーシスに非閉塞性腸間膜虚血症(nonocclusive mesenteric ischemia : 以下NOMIと略記)合併による空腸壊死をきたし緊急手術を要した1例を報告した.再手術時に空腸は非連続性にまだら状に暗紫色に色調変化をきたしており,肉眼所見のみでは切除範囲の決定が困難であったため,indocyanine green(以下ICGと略記)蛍光法にて腸管のviabilityを判定して空腸を85cm切除した.切除標本で空腸の粘膜下の血管にアミロイドの沈着による内腔の狭小化を認め,アミロイドーシスとNOMIの合併が壊死の原因と考えられた.NOMIにおける腸管壊死は範囲が不明瞭なことが多く,至適な切除をしないと腸管大量切除による短腸症候群や残存腸管の術後の壊死を招く危険性があり,注意を要する病態である.ICG蛍光法は微妙な色調変化をきたした腸管のviabilityの判定に有用であったが,定量的な判定法ではないため虚血腸管の正確な診断に至るためには更なる検討が必要と考えられた.

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