2020 年 81 巻 3 号 p. 500-505
76歳,男性.検診にて便潜血陽性と貧血を指摘され,当院を受診した.上・下部消化管内視鏡検査では異常は認めず精査予定であったが,精査前に心窩部痛で救急外来を受診した.緊急CTにて急性胆嚢炎と空腸腫瘤を認め,緊急胆嚢摘出術を施行した.空腸腫瘤は精査後二期的に手術を施行した.腫瘤はTreitz靱帯から30cm肛門側に存在し,腸間膜リンパ節腫大を伴っていた.術中迅速組織診で腺癌と診断し,小腸部分切除,リンパ節郭清術を施行した.腫瘍は輪状狭窄型,病理組織学的には粘液腺癌で,pT3/SS,N2a(5/8),M0,Stage III B(UICC第8版)であった.術後補助化学療法を施行し,1年6カ月生存中である.原発性小腸癌は全消化管癌の0.1~0.3%,その中で粘液癌の占める割合は3.2%~7%と極めて稀である.文献的には空腸粘液癌は輪状狭窄型が少ないため閉塞症状が出にくく,リンパ節転移は比較的少ない症例が多いが,自験例はこれらと異なる特徴を有していた.