日本臨床外科学会雑誌
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症例
門脈合併切除再建を伴う肝切除を行った肝原発神経内分泌細胞癌の1例
秋山 貴洋亀高 尚牧野 裕庸深田 忠臣清家 和裕三富 弘之
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2020 年 81 巻 3 号 p. 548-553

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抄録

症例は72歳,男性.閉塞性黄疸の診断で入院.画像所見では,肝前区域から肝門部に及ぶ腫瘍を認め,右肝動脈と門脈本幹から左枝水平部までの浸潤を伴っていた.胆汁細胞診では木目込み細工様配列を示す異型細胞がみられ,神経内分泌細胞癌が疑われた.右門脈塞栓術後に,肝右葉尾状葉切除,肝外胆管切除,胆管空腸吻合,門脈合併切除再建術を施行した.広範な門脈浸潤のため本幹と左枝水平部での再建が必要であった.病理所見では29×22 mm大の腫瘍がみられ,組織学的にロゼット形成を認め,免疫染色でクロモグラニンAなどの神経内分泌マーカーが陽性であり,肝原発神経内分泌細胞癌と診断した.また,Ki-67陽性率は47%(>20%)で,p53が陽性であったことから低分化型と判断し,術後はシスプラチンにエトポシドあるいはイリノテカンを併用する化学療法を選択した.高難度の肝切除術と術後の化学療法により延命効果が見られた.

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