2020 年 81 巻 3 号 p. 576-582
症例は51歳,女性.頭蓋内hemangiopericytoma(以下,頭蓋内HPC)に対して,開頭腫瘍摘出術を施行し,その10年後の腹部造影CTで,膵頭部および膵尾部に造影効果を有する腫瘍を認めた.頭蓋内HPCの転移性膵腫瘍が疑われたが,膵神経内分泌腫瘍の可能性も考えられたため,膵尾部の腫瘍に対して超音波内視鏡下穿刺吸引を施行した.その結果,頭蓋内HPCの転移性膵腫瘍の診断となった.膵頭部,膵尾部の病変に対して,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術および,尾側膵切除術を施行した.病理組織学的には,これらの病変の組織像が頭蓋内HPCに類似しており,HPCに特徴的なSTAT6の核内陽性像を認めたため,膵頭部・膵尾部の病変はともに頭蓋内HPCの転移性膵腫瘍の診断となった.
術前に頭蓋内HPCの転移性膵腫瘍と診断しえた症例に対して,膵頭十二指腸切除術および尾側膵切除術を施行した1例を経験したので報告する.