2020 年 81 巻 6 号 p. 1075-1079
症例は75歳,男性.甲状腺癌の気管浸潤に対して気管管状切除を伴う甲状腺全摘と両側頸部郭清術を施行した.術後7日目まで気管挿管のまま人工呼吸管理を行い,8日目に抜管した.10日目から頸胸部皮下気腫が出現し,CTでは両側頸部・胸部・縦隔内に広範な皮下気腫を認め,気管内腔との交通を認めた.しかし,皮下気腫以外の臨床症状を認めず,CT所見から縫合不全部はごく狭い範囲であることから,抗菌薬の投与と縫合不全と考えられる部位を体表から圧迫することとし,ガーゼで作製した小三角枕を伸縮テープで前頸部に固定した.その後皮下気腫の拡大は認めず,9日目に圧迫を解除したが,皮下気腫の再燃はなく縫合不全は治癒したと考えられ,第28病日に退院した.臨床症状を伴わない,狭い範囲と考えられる気管管状切除後縫合不全では,厳重な観察下に局所の圧迫は試みられるべき治療と考えられた.