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池尻 はるか, 吉山 知幸, 尾崎 慎治, 重松 英朗
2020 年81 巻6 号 p.
1049-1053
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
患者は58歳,女性.左乳房Paget病に対して左乳頭乳輪合併乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検術が施行された.病理診断はPaget病,pT1aN0M0,HER2 typeであった.術後療法として左乳房への照射42.56Gy/16Fr施行し,以後は経過観察が行われた.術後5年目に左温存乳房内に3cm大腫瘤と右腋窩リンパ節腫大を認め,左温存乳房内再発および右腋窩リンパ節転移と診断された.他部位に転移所見を認めず,左乳房切除術,左腋窩センチネルリンパ節生検術および右腋窩リンパ節郭清術の方針とした.術前リンフォシンチグラフィでは左右腋窩リンパ節への集積を認めた.併用法によるセンチネルリンパ節生検術を施行し,右腋窩SLNには転移を認めたが,左腋窩SLNには転移を認めなかった.乳房内再発症例では術前検査およびRI法や色素法にて,対側リンパ節腫大の有無を確認することが必要であると考えられた.
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山室 みのり, 小西 寿一郎, 上野 万里, 鴨 宣之, 田中 規幹
2020 年81 巻6 号 p.
1054-1058
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は40歳,女性.主訴は左乳頭血性分泌.マンモグラフィーで左乳房に微細石灰化を区域性に認め,超音波検査では左乳房上部に広範囲に乳管拡張を認めた.MRIでは左乳房上部全体に区域性の造影効果を認めた.吸引式組織生検を施行し,非浸潤性乳管癌(以下DCIS)と診断.術前の血液検査では,CA15-3,NCC-ST439,BCA225が高値を呈したが,CT等では左乳癌以外の所見は認められなかった.皮膚温存乳房全切除術,左腋窩センチネルリンパ節生検および組織拡張器挿入術を施行し,pTisN0M0 stage 0と診断された.術後3カ月の血液検査で腫瘍マーカーは全て正常化し,術後1年経過し再発所見は認められない.DCISはstage 0の初期乳癌であり,腫瘍マーカーが上昇することは極めて稀である.今回,種々の腫瘍マーカーが高値を呈したDCIS症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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長塚 美樹, 岡野 舞子, 松嵜 正實, 片方 直人, 二瓶 光博, 野水 整
2020 年81 巻6 号 p.
1059-1064
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
BRCA1卵巣癌術後化学療法が異時性両側乳癌第二癌に奏効した症例を経験したので報告する.2002年4月,他院にて左トリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対しBp+Axを施行された.濃厚な家族歴のため遺伝学的検査を実施しBRCA1の生殖細胞系列変異が確認された.2017年に婦人科検診にて,卵巣嚢腫,子宮筋腫を指摘され,経過観察の指示であったが当院を受診精査し,子宮肉腫,卵巣癌の診断であった.同時期前医で年1回の乳腺術後検査を行い,対側右乳房腫瘤を指摘,当院針生検にてTNBCの診断となった.同年11月に子宮全摘,両側卵管卵巣切除術を施行した.病理は,子宮筋腫,卵巣癌(Stage Ib期)であり,術後化学療法ではweekly paclitaxel+carboplatin 6コースを施行後,翌年3月に右Bt+SNB,左Btを施行した.病理は,右に残存悪性細胞なし,対側左残存乳腺内にも悪性所見を認めなかった.
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正村 滋, 苅込 和裕, 諏訪 達志, 松村 知憲, 北村 謙太, 徳留 隆博
2020 年81 巻6 号 p.
1065-1068
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
授乳期乳房に発生した転移性腫瘤の1例を経験したので報告する.41歳授乳期女性の左乳房真皮直下に超音波診断上7mm大の血流に乏しい腫瘤性病変を認めた.穿刺にて得られた少量の白色の液体は,検鏡にて無構造の蛋白様物質が多量に含まれ軽度の異形を有する角化を伴う細胞がごく少数認められたが,乳管腺上皮は含まれていなかった.この時点で悪性腫瘍を強く疑ったわけではないが,増大したことから外科生検を行い,浸潤性乳管癌(硬癌)との診断を得た.精査を進めたところ,CT,MRI(Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background Suppression;DWIBS)にて左肺に空洞を伴う7cm大の腫瘤を認め,EGFR遺伝子変異陽性の扁平上皮癌で髄膜,腎,皮膚に転移の見られる4期と判明した.乳癌との関連を調べる目的で乳房腫瘤の組織像を再度複数の病理診断医と協議した結果,乳房の腫瘤も肺扁平上皮癌からの転移性腫瘍としても矛盾しないこと,遺伝子検査の結果,肺腫瘍と同じEGFR変異(exon19del)が認められたことから,最終的に肺癌の乳房転移と診断した.
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二反田 博之, 田口 亮, 師田 瑞樹, 栁原 章寿, 石田 博徳, 坂口 浩三
2020 年81 巻6 号 p.
1069-1074
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
71歳,男性.右下葉肺癌に対し下葉切除を行い退院.術後15日目に意識障害と呼吸不全により緊急搬送され,気管支鏡検査で下葉気管支断端の完全離開が認められた.一期的な瘻孔閉鎖は不可能と判断し,予め栄養サポートチーム(NST)の介入と理学療法を開始した上で開窓術を行った.術翌日から理学療法を再開し,NSTと逐一協議して経管栄養を実施した結果,開窓術後7日で人工呼吸器を離脱して歩行訓練が可能となった.2カ月で断端の閉鎖が確認され,4週間の局所陰圧閉鎖療法を追加することで遺残腔の完全な消失と創部の上皮化が得られた.開窓術後比較的短期間で瘻孔の閉鎖が得られた要因として周術期の栄養状態が概ね良好だったこと,残存する右上中葉の容積が大きく膿胸腔の清浄化と相まって胸腔が縮小して断端が覆われたこと,開窓術前からの各職種の積極的な介入が奏効したことが考えられた.局所陰圧閉鎖療法は遺残腔の縮小に有効であった.
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貝羽 義浩, 関口 悟, 川嶋 和樹, 瓶子 隆弘, 中村 崇宣, 米田 海
2020 年81 巻6 号 p.
1075-1079
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は75歳,男性.甲状腺癌の気管浸潤に対して気管管状切除を伴う甲状腺全摘と両側頸部郭清術を施行した.術後7日目まで気管挿管のまま人工呼吸管理を行い,8日目に抜管した.10日目から頸胸部皮下気腫が出現し,CTでは両側頸部・胸部・縦隔内に広範な皮下気腫を認め,気管内腔との交通を認めた.しかし,皮下気腫以外の臨床症状を認めず,CT所見から縫合不全部はごく狭い範囲であることから,抗菌薬の投与と縫合不全と考えられる部位を体表から圧迫することとし,ガーゼで作製した小三角枕を伸縮テープで前頸部に固定した.その後皮下気腫の拡大は認めず,9日目に圧迫を解除したが,皮下気腫の再燃はなく縫合不全は治癒したと考えられ,第28病日に退院した.臨床症状を伴わない,狭い範囲と考えられる気管管状切除後縫合不全では,厳重な観察下に局所の圧迫は試みられるべき治療と考えられた.
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平田 裕久, 綛谷 哲矢, 森田 剛史, 西岡 宏彰, 古河 洋
2020 年81 巻6 号 p.
1080-1084
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
胸部外傷は鋭的外傷と鈍的外傷に大別されるが,本邦では鋭的外傷の頻度は少ないとされる.鋭的胸部外傷のうち,穿通性肺損傷の多くは開胸手術を要せず,胸腔ドレーンで治療される.今回,穿通性肺損傷,肺内異物という稀な病態に対してpulmonary tractotomyを施行した1例を経験した.症例は30歳,男性.金属プレス加工機械を操作中に,金属片が折損飛来し,左前胸部に刺さったため受診した.胸部X線およびCTで,金属片が左肺舌区内に滞留していることを確認し,穿通性肺損傷,肺内異物の診断で肺損傷部の観察治療,肺内異物除去を目的に手術を行った.左上葉に金属片の入口部を認め,舌区内に金属片を触知し,非貫通性穿通性肺損傷と診断した.自動縫合器を用いたpulmonary tractotomyを施行し,確実な止血と異物除去を行い,術後23日目に退院した.金属片による穿通性肺損傷に対して,pulmonary tractotomyは有用な術式であると考えられた.
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平山 杏, 松野 将宏, 角岡 信男, 遠藤 希之, 赤平 純一
2020 年81 巻6 号 p.
1085-1089
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は59歳,男性.健診の胸部単純X線写真にて左肺門部腫瘤影を指摘された.精査の胸部CTにて左上葉肺門部に30mm大の脂肪濃度の軟部影が認められた.気管支鏡検査にて腫瘍は「脂肪腫」の診断が得られた.薄層CTでは,腫瘍の一部が気管軟骨を貫通しており,また左S3が無気肺化していることから経気管支的治療は不可能と判断,手術による摘出の方針となった.手術は完全胸腔鏡下左上葉切除術を施行.腫瘍および気管支断端の術中迅速診断にて「腫瘍-脂肪肉腫,断端-陰性」を確認した.術後経過良好,第7病日に独歩退院した.術後2年経過し,無再発生存している.
気管支脂肪腫は稀な疾患であり,全肺腫瘍のうち約0.1%と言われる.さらには脂肪肉腫となると,他臓器原発の脂肪肉腫の肺転移の報告例・治療例は散見されるものの,気管支原発の脂肪肉腫に関しては文献が非常に乏しい.症例の蓄積・共有により,治療方針や予後について等の検討が望まれる.
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小森 啓正, 松谷 毅, 萩原 信敏, 野村 務, 吉田 寛
2020 年81 巻6 号 p.
1090-1096
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は80歳,女性.胸部痛,嚥下困難を主訴に来院.上部消化管内視鏡で胸部上部から中部に隆起性腫瘍を認め,生検の病理組織検査で食道類基底細胞癌と診断された.胸部CTで,全周性の食道壁肥厚と腫瘍部近傍のリンパ節腫大を認め,cT3N1M0,cStage IIIと診断した.術前5-FU(600mg/m2,day1-5),Nedaplatin(45mg/m2,day1)併用化学療法を選択し,2コースを施行した.腫瘍の著明な縮小を認め,抗腫瘍効果はpartial response(CT-cT2N0M0 cStage II)でダウンステージが得られたと判断した.術前化学療法から約4週間後に,腹臥位胸腔鏡下食道切除術,腹腔鏡下胃管作成術,胸骨後経路にて頸部食道胃管吻合術を施行した.切除標本の病理組織検査で,元来腫瘤が存在した食道病変部位には腫瘍細胞を認めず,脈管侵襲・リンパ節転移も認めなかったため,化学療法の効果判定はGrade 3と診断した.5-FU/Nedaplatin併用化学療法は進行食道類基底細胞癌に対する術前化学療法レジメンの選択肢になり得る.
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石林 健一, 辻 敏克, 山本 大輔, 北村 祥貴, 角谷 慎一, 伴登 宏行
2020 年81 巻6 号 p.
1097-1103
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
胃癌術後膵液瘻は重篤な術後合併症である.今回,胃切除後膵液瘻に伴う腹腔内膿瘍に対し超音波内視鏡下経胃ドレナージを行った1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性.胃癌(cT2N0M0,cStage I)に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.術後第4病日に38.6度の発熱と背部痛を認め,造影CTを施行したところ,膵の腫大と周囲の脂肪織濃度の上昇,輸入脚周囲の液体貯留を認めた.保存的加療にて症状は軽快せず,保存的加療開始28日目に造影CTを施行すると,貯留していた液体は被包化され膿瘍を形成していた.体表との間に介在する腸管により経皮的なドレナージは極めて困難であったが,膿瘍壁と胃壁が接していたため超音波内視鏡下経胃ドレナージ術を施行した.解熱と膿瘍の著明な縮小を認め,その後経過は良好である.
自験例のように嚢胞壁と消化管壁が接している術後膵液瘻では,超音波内視鏡下経胃ドレナージは有効な治療法の一つと考えられる.
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久原 佑太, 二宮 基樹, 谷山 清己, 平原 慧, 土井 寛文, 白川 賢司, 宮本 勝也
2020 年81 巻6 号 p.
1104-1109
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は23歳の女性で,心窩部痛を主訴に当院紹介となる.上部消化管内視鏡検査で胃角後壁に約25mm大の隆起性病変を認め,腹部造影CTで胃体下部大彎側に約35mm大,胃角部後壁に約16mm大の造影効果が膵と類似した病変を認めた.胃粘膜下腫瘍としてgastrointestinal stromal tumor (以下,GISTと略記)や平滑筋腫,異所性膵などが鑑別として考えられたが,GISTが否定しきれないことから手術の方針となった.術中の肉眼的所見はどちらも膵組織であり,異所性膵と診断した.二つの病巣に対して2箇所で胃部分切除術を施行し摘出した.術後に心窩部痛は消失した.術後病理学的組織診断は,ともに異所性膵であり,それぞれ胃壁の固有筋層から漿膜下層および粘膜下層から固有筋層に存在していた.一部の膵管周囲に組織球の小集簇を伴う線維化巣も認められたため,心窩部痛に際して限局的膵炎を発症していた可能性が疑われた.臨床症状を伴い,2箇所に存在する異所性膵はまれであり,報告した.
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野中 健一, 鷹尾 千佳, 甲村 稔, 武鹿 良規, 日下部 光彦, 吉田 和弘
2020 年81 巻6 号 p.
1110-1114
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は32歳の女性で,検診の腹部超音波検査にて腹腔内腫瘤を指摘された.上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に径30mmの粘膜下腫瘍様の隆起を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引生検を施行したところ,紡錘形細胞を認めた.腹部MRIおよびCTでは胃体上部後壁に接する径30mmの病変を認めた.以上より,管外発育型の胃gastrointestinal stromal tumorを疑い鏡視下手術を行った.膵尾部頭側の後腹膜下に径30mmの腫瘤を認め,摘出術を行った.胃壁との連続性は認めなかった.組織像にて腫瘤は紡錘型細胞により構成されていた.免疫染色を施行したところ,CD34 (+),c-kit (-)であった.遺伝子変異検索を施行したところ,c-kit遺伝子変異 (-),PDGFRA遺伝子変異 (-)であった.以上よりsolitary fibrous tumorと診断した.
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原田 愛倫子, 船水 尚武, 石山 哲
2020 年81 巻6 号 p.
1115-1119
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は78歳の女性.右下腹部痛を主訴に当院を受診.腹部造影CTで胃壁の肥厚および小網のリンパ節の腫大を認め,上部消化管内視鏡検査を施行した.幽門前庭部に3型の胃癌を認め(tub2,HER2陽性),cStage IIIの診断で手術を行う方針となった.術中所見で腹膜播種はないものの,腫瘍の膵浸潤を認めたため,切除不能と判断し,胃空腸吻合術を施行した.術後にcapecitabine+CDDP(XP)+trastuzumab(Tmab)療法を1コース施行したところ,Grade3以上の副作用を認めたため,S-1+oxsaliplatin (SOX)+trastuzumab(Tmab)療法に変更した.4コース施行後に腫瘍の評価を行ったところ,腹部造影CTで原発巣およびリンパ節の著明な縮小効果を認め,根治手術を行う方針とした.膵の剥離が可能であり,幽門側胃切除術を施行した.病理診断で胃およびリンパ節に腫瘍細胞を認めず,組織学的治療効果はGrade3であった.HER2陽性進行胃癌に対するSOX+Tmab療法は,conversion surgeryも期待しうる初回治療の選択肢の一つになる可能性がある.
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竹之内 晶, 佐藤 渉, 小坂 隆司, 秋山 浩利, 國崎 主税, 遠藤 格
2020 年81 巻6 号 p.
1120-1126
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は67歳,男性.胃癌に対して,術前化学療法後に開腹幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建を施行した.術後リンパ節再発を認め,三次治療として術後15カ月にnivolumab療法を開始した.その後食欲低下と全身倦怠感,四肢の多関節痛を認めた.Nivolumab療法開始9カ月後に経口摂取不良に伴う低栄養を認め,緊急入院となった.免疫関連有害事象(irAE)による多発関節炎とACTH単独欠損症と診断した.ヒドロコルチゾンの単回静脈投与とプレドニゾロンの内服により,症状の改善を得られた.現在はnivolumab療法の中止とプレドニゾロンの内服量を漸減しているが症状の再燃は認めず,再発病変は完全奏効(CR)を維持している.免疫チェックポイント阻害薬の投与に際してirAEの診断・治療は重要であるが,胃切除後症候群による食思不振・体重減少などの全身症状との鑑別が困難な場合がある.
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古市 ゆみ, 隈元 謙介, 浅野 栄介, 岡野 圭一, 臼杵 尚志, 鈴木 康之
2020 年81 巻6 号 p.
1127-1131
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は76歳の男性で,前医に尿管結石,尿路感染症で入院加療中に全身状態が悪化し,敗血症性ショック,多臓器不全となり,治療目的に当院救命センターへ転院した.入院9日目に黒色便があり,上部消化管内視鏡検査で胃潰瘍を認めたが同部位からの出血所見は認められなかった.入院11日目に大量下血で出血性ショックとなり,下部消化管内視鏡検査を施行した.回腸末端に潰瘍性病変を認めるも活動性出血の部位は同定できず,造影CTでもextravasationを確認できなかった.その後も間欠的な下血が継続し,入院14日目再度ショック状態となったため,緊急手術を行った.手術所見では小腸の漿膜側に明らかな異常所見は認められず,回腸末端を切開し術中内視鏡を施行した.切開部より110cm口側の腸管壁から動脈性出血を認め,Dieulafoy潰瘍と診断した.凝固止血し回腸切開部で人工肛門を造設した.術後1年,再出血なく経過し,人工肛門を閉鎖した.
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阿見 勝也, 森本 大樹, 伊藤 敬, 船本 英, 田中 正樹, 岩谷 慶照, 西上 隆之, 酒井 哲也
2020 年81 巻6 号 p.
1132-1139
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は65歳,男性.発熱,腹部膨満感の精査で当科を紹介受診.WBC 25,400/mm3,CRP 20.29mg/dlと炎症所見を認め,腹部CTで上腹部にair fluid levelを呈する長径約20cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.診断治療目的に試験開腹術を施行.腫瘤の内腔に亜全周性に断裂した空腸が開口しており,腫瘤を含む空腸部分切除術を施行した.腫瘤壁の可及的切除を試みたが,一部は横行結腸間膜と広範囲に癒着していたため残存した.病理組織学的検査で,単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫(monomorphic epitheliotropic intestinal T-cell lymphoma:MEITL)と診断した.術後は良好に経過し,他院にて化学療法を開始したが経過中に多発脳転移を認め,術後197日目に原病死した.2016年のWHO分類の改訂より腸管症型T細胞リンパ腫II型(enteropathy-associated T-cell lymphoma II:EATL II)がMEITLに記載が変更された.長径20cmの巨大な腹腔内腫瘤を形成したMEITLの1例を経験したので報告する.
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花澤 隆明, 杢野 泰司, 松原 秀雄, 金子 博和, 宇治 誠人, 社本 幹博, 弥政 晋輔
2020 年81 巻6 号 p.
1140-1145
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は52歳,女性.腹痛を主訴に当院救急外来を受診.精査で横行結腸穿孔と診断し,緊急手術を施行した.穿孔した横行結腸を部分切除,吻合し,diverting ileostomyを造設した.病理検査では穿孔の原因となる異常は指摘できなかった.術後24日目に人工肛門閉鎖術を施行した.退院1週間後に再度腹痛を主訴に受診し,精査にてS状結腸穿孔の診断で緊急手術を施行した.穿孔したS状結腸を切除し,Hartmann手術を施行した.病理検査では明らかな異常はなかった.退院10週後に再び腹痛を主訴に受診し,精査で上行結腸穿孔と診断した.右半結腸切除を施行し,吻合は行わずileostomyを造設した.病理検査でDFS(direct fast scarlet)染色を施行しアミロイドーシスを認め,前2回の切除標本でも同様のアミロイドーシスを認め,一連の大腸穿孔は腸管アミロイドーシスが原因と考えられた.今回われわれは短期間に大腸穿孔を繰り返した腸管アミロイドーシスの1例を経験したので,若干の文献考察を加えて報告する.
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藤好 直, 野村 克, 佐々木 彩実, 梅本 浩平, 荻野 次郎, 大森 一吉
2020 年81 巻6 号 p.
1146-1150
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は82歳,女性.肺血栓塞栓症の既往に対し,抗血栓薬内服中であった.排便時に怒責した際に強い腹痛が出現し,来院時のCTでS状結腸間膜血腫と診断し,保存的治療を開始した.経過は良好であったが第3病日に急激な腹痛を自覚し,腸間膜血腫への憩室穿通の診断で緊急開腹Hartmann手術およびドレナージを施行した.術中所見では腹腔内に血性混濁腹水を認め,S状結腸間膜の裂傷を認めた.血腫に便が混在し,急性反発性腹膜炎を呈していた.病理所見では仮性憩室の穿通部に壁内血腫を認め,血腫による物理的な壁の破綻や血流障害が否定できない所見であった.術後大きな合併症なく,42日目に自宅退院となった.非外傷性の腸間膜血腫は比較的稀な病態であり,その保存的治療中に血腫への憩室穿通を認めた症例は報告がない.腸間膜血腫がその血管支配領域に多発の憩室を有する結腸間膜に生じた場合,早期の手術を考慮すべきであると考えられた.
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服部 正嗣, 寺本 仁, 笹原 正寛, 竹田 直也, 丸山 浩高, 蜂須賀 丈博
2020 年81 巻6 号 p.
1151-1155
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は62歳,男性.血便を主訴に指摘された直腸癌に対して腹腔鏡下直腸切除術を施行した.術後1年目までのフォローCTでは異常所見を認めなかったが,術後1年半のCTで吻合部背側と右尿管周囲に軟部影を認めた.FDG-PETでも同部位に集積を認め,直腸癌術後の播種性再発を疑って全身化学療法の開始を検討した.しかし,血清IgG4高値であったことからIgG4関連疾患の可能性を念頭に,吻合部背側の組織のCTガイド下生検を行った.病理所見では有意なIgG4陽性細胞の浸潤は認めなかったが著明な形質細胞の浸潤と線維化を認め,明らかな癌の所見を認めなかった.十分な説明の上,癌の再発としては経過観察,IgG4関連疾患としてステロイド治療が開始され,現在,病変の縮小を認めている.IgG4関連疾患の中には悪性腫瘍やその再発と診断されて拡大手術や化学療法が施行された症例があると考えられる.癌の再発を疑った際には本疾患も鑑別診断の念頭に置くべきであると考えられ,文献的考察を加えて報告する.
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比嘉 花絵, 宮田 剛彰, 島内 貴弘, 青笹 季文, 小野 聡, 志田 晴彦, 岩田 良子, 佐竹 光夫
2020 年81 巻6 号 p.
1156-1160
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
フリー
症例は62歳,男性.自殺目的で刃渡り20cmの包丁で右頸部,左胸部を刺傷し前医に救急搬送された.心損傷,肝損傷の疑いで当院に紹介となった.当院到着時,胸腹部CTで既知の心損傷,肝損傷および肝動脈門脈シャント(AP shunt)の合併が疑われ,緊急手術の方針となった.刺創は第4肋間から刺入し右室心筋,心膜横隔膜を貫通し,肝左葉に達していた.心損傷・肝損傷からは活動性出血はなく,TachoSil®で修復.手術終了直後,腹部血管造影を行い,AP shuntを認めるA3分枝に動脈塞栓術(TAE)を施行し,AP shuntの消失を確認.術後経過は良好であり,術後10日で精神科病院へ転院となった.AP shunt形成に至った胸部鋭的外傷の1例を経験し,肝微小循環の観点から,その病態と治療介入の時期について考察し報告する.
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塚田 暁, 小松 優香, 津田 晋, 坪井 香保里, 八木 健, 北村 龍彦
2020 年81 巻6 号 p.
1161-1165
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
ジャーナル
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症例は87歳,男性.2016年3月に皮膚悪性黒色腫に対し切除術が行われた.以降,右鼠径部リンパ節,大動脈周囲リンパ節,右腋窩リンパ節転移,脳転移を認めた.脳転移に対してガンマナイフ療法を行い,その後ペムブロリズマブによる治療が行われた.リンパ節転移,脳転移は集学的治療により制御できていたが,2018年8月のCTで胆嚢に隆起性病変を指摘された.10月のCTで胆嚢腫瘍は増大しており,胆嚢転移もしくは胆嚢癌と診断した.他の部位はペムブロリズマブで病勢が抑えられており,胆嚢癌の可能性も否定できないことから切除の方針とした.手術は肝床部切除術+12bリンパ節郭清を行った.病理結果は悪性黒色腫胆嚢転移であった.術後14カ月経過しているが,再発なく経過観察中である.悪性黒色腫の多臓器転移は予後不良とされるが,免疫チェックポイント阻害薬により病勢制御できない部位を外科的に完全切除することにより予後の改善が見込まれる.
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枝浪 元紀, 伊藤 康博, 瀨尾 雄樹, 田中 求, 戸倉 英之, 高橋 孝行
2020 年81 巻6 号 p.
1166-1170
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
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症例は77歳,女性.遠位胆管癌の術前精査を当院外来で行っていたところ,発熱,悪寒と左眼の視力低下を主訴に当院救急外来を受診した.肝膿瘍と診断され,当科に入院となった.入院日に眼科を受診して,ぶどう膜炎,光彩炎と硝子体混濁を認め,抗菌薬加療していた.入院後第2病日に左眼の腫脹と疼痛が増悪して,眼科を再診したところ,転移性眼内炎と診断され,第7病日に左眼球内容除去術を施行した.全身状態改善がみられたので,第29病日に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後はInternational Study of Group of Pancreatic Fistulaのbiochemical leakがみられたが,保存的治療で改善して,術後25日目に退院となった.転移性眼内炎は,真菌や細菌が他臓器より血行性に眼内へ転移することで発症する稀な疾患であり,予後は不良であるとされている.今回,胆管癌術前に細菌性肝膿瘍から転移性眼内炎を続発して,眼球内容除去に至り,かつ胆管癌を根治切除した1例を経験したため,報告する.
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平澤 壮一朗, 貝沼 修, 松本 泰典, 田中 元, 夏目 俊之, 丸山 尚嗣
2020 年81 巻6 号 p.
1171-1175
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
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77歳,男性.構音障害および左上肢麻痺が出現して近医を受診.膵尾部癌によるTrousseau症候群の診断で当院へ紹介となった.膵癌は他臓器浸潤があり,CA19-9が異常高値であったため潜在的な腹膜播種の可能性を考え,GEM+nab-PTXによる術前化学療法を施行した.CA19-9は著減し,腫瘍径は30%縮小したため,膵尾部切除術,胃部分切除術,結腸部分切除術を施行した.術後化学療法としてS-1を施行,術後10カ月リンパ節再発をきたすも再度GEM+nab-PTX投与し,リンパ節は消失.現在1年4カ月,化学療法継続中である.
Trousseau症候群は悪性腫瘍に合併する凝固能亢進状態あるいはDICと,それに伴う遊走性血栓性静脈炎のことを指し,本邦では悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により脳卒中を生じた病態と捉えることが多い.Trousseau症候群を伴う症例は進行例が多く予後不良であるが,術前化学療法で病勢をコントロールできれば切除可能な症例も存在することは,注目すべき症例として報告した.
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大西 敏雄, 米井 彰洋, 菊池 剛史, 土田 裕一, 冨永 邦彦
2020 年81 巻6 号 p.
1176-1180
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
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症例1:41歳,女性.腹痛を主訴に受診.MRIで骨盤腔内に軟部腫瘍を認めた.腹会陰式腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的検査でAggressive angiomyxoma(以下,AAM)と診断された.症例2:不正性出血を主訴に婦人科受診.MRIで子宮筋腫と骨盤腔内に軟部腫瘍を認めた.子宮筋腫核出術+腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的検査でAAMと診断された.症例3:排便時に腫瘤が出てくるために受診.CTでは骨盤腔内の腫瘍が直腸浸潤し肛門より露出している状態と診断した.腫瘍摘出術+直腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査でAAMと診断された.AAMは若年女性の生殖器,会陰骨盤に後発する稀な間葉系腫瘍である.当院では3例の症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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真船 太一, 間瀬 憲多朗, 徳村 和彦, 角 勇作, 今村 史人, 堀口 尚, 神賀 正博
2020 年81 巻6 号 p.
1181-1186
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
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Tailgut cystは胎生期に存在するtailgutの遺残に由来する稀な疾患であり,悪性化する症例もある.今回われわれは術後に長期生存している腺癌を伴うtailgut cystの1例を経験した.症例は29歳の女性で,右臀部の膨隆が主訴であった.CTとMRIで仙骨前隙に130mm大の嚢胞性病変を指摘され,さらに内部に充実性の腫瘤を認めた.術前診断では,内部に悪性腫瘍を伴ったtailgut cystが疑われ切除の方針とした.手術はジャックナイフ体位で,仙骨傍切開にて腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的には嚢胞内部に留まる乳頭腺管状腺癌と診断された.術後16日目に退院し,現在術後7年4カ月を経過したが再発はない.悪性腫瘍を伴うtailgut cyst症例は,局所進展症例や転移症例に関しては予後が悪いが,自験例のように嚢胞内部に腺癌が留まる場合には,術後長期予後が得られる可能性がある.ただし,tailgut cystの増大には時間がかかるため,今後の経過観察方法が課題となると考えられた.
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中林 雄大, 石原 陽介, 山条 純基, 藤堂 桃子, 宮川 公治, 藤 信明
2020 年81 巻6 号 p.
1187-1192
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
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症例は84歳,女性.腹部手術歴なし.腹痛と嘔気を主訴に受診.腹部CTでは横行結腸の頭側で拡張した小腸が内ヘルニアとなっており,横行結腸間膜裂孔ヘルニアを疑い緊急手術を施行した.術中所見では,被膜に覆われた小腸が横行結腸間膜の欠損孔より網嚢内に嵌入していた.小腸に血流障害はなく,腸管切除は行わなかった.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは,腸間膜裂孔ヘルニアのうち12.2%とまれな疾患である.分類としては,結腸間膜の前後葉が欠損する両葉欠損型と結腸間膜の片葉が欠損し残りの片葉が嚢を形成する片葉欠損型の二つが存在する.本症例は片葉欠損型に分類された.近年,multi detector-row computed tomography(以下MDCT)で術前診断可能との報告があるが,本症例も術前にMDCTで横行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断しえたので,文献的考察を加えて報告する.
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伊藤 篤志, 木川 幾太郎, 饗場 正宏
2020 年81 巻6 号 p.
1193-1197
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/28
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症例は92歳,女性.左大腿骨骨幹部骨折観血的整復術直後の同側下腿痛を主訴に,下腿蒼白や冷感を伴い,末梢動脈触診やドップラー聴診が不可能なため,造影CTで左浅大腿動脈閉塞の診断となり,緊急手術を施行した.術中所見で,骨折および観血的整復術部周辺の浅大腿動脈に血管内膜損傷による解離と,二次性と考えられる血栓形成からの閉塞を認めた.血栓摘除+内膜固定では,末梢への良好な血流再開が確認できず,人工血管で左浅大腿-膝窩動脈バイパス術とした.術後再灌流障害など合併症もなく救肢できた.高齢者の大腿骨骨幹部骨折では,浅大腿動脈の内膜損傷を合併することがあり,受傷時に非閉塞性損傷でも,整形外科周術期に解離の進展や血栓の形成を伴う二次性血管閉塞から,急性下肢虚血となることがある.正確な身体所見の経時的評価や,血管外傷の合併も念頭に置いた周術期管理が肝要である.
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