2020 年 81 巻 6 号 p. 1127-1131
症例は76歳の男性で,前医に尿管結石,尿路感染症で入院加療中に全身状態が悪化し,敗血症性ショック,多臓器不全となり,治療目的に当院救命センターへ転院した.入院9日目に黒色便があり,上部消化管内視鏡検査で胃潰瘍を認めたが同部位からの出血所見は認められなかった.入院11日目に大量下血で出血性ショックとなり,下部消化管内視鏡検査を施行した.回腸末端に潰瘍性病変を認めるも活動性出血の部位は同定できず,造影CTでもextravasationを確認できなかった.その後も間欠的な下血が継続し,入院14日目再度ショック状態となったため,緊急手術を行った.手術所見では小腸の漿膜側に明らかな異常所見は認められず,回腸末端を切開し術中内視鏡を施行した.切開部より110cm口側の腸管壁から動脈性出血を認め,Dieulafoy潰瘍と診断した.凝固止血し回腸切開部で人工肛門を造設した.術後1年,再出血なく経過し,人工肛門を閉鎖した.