日本臨床外科学会雑誌
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症例
脾浸潤により脾膿瘍および脾静脈腫瘍栓をきたした脾彎曲部結腸癌の1例
吉澤 隆裕田中 宏和横井 謙太鈴木 史恭清水 文彰横山 隆秀
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2020 年 81 巻 7 号 p. 1341-1345

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抄録

症例は93歳,女性.3週間前から食欲不振,全身倦怠感があり近医で輸液加療されていた.起き上がりが困難になり40℃の発熱も出現したため当院に救急搬送された.血液検査や単純CTにて精査されたが原因は不明であり,内科に入院し抗菌薬加療された.入院時に施行した血液培養検査から大腸菌が検出されたため施行した腹部造影CTで,脾彎曲部結腸癌の脾浸潤,脾膿瘍,脾静脈腫瘍栓と診断され同日当科へ紹介,緊急手術を施行した.脾彎曲部結腸癌は脾臓と一塊となっており,一部左横隔膜まで浸潤していた.脾静脈腫瘍栓を認めたため脾臓摘出術,結腸部分切除術,横隔膜合併切除術に加えて膵体尾部切除術を施行し検体を一塊に摘出,横行結腸で人工肛門を造設した.術後経過は良好であった.結腸癌脾浸潤に伴う脾膿瘍および結腸癌に伴う脾静脈腫瘍栓の報告例は本邦でそれぞれ11例,1例と極めて少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.

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