日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸腸間膜に生じた最大径30cmの悪性末梢神経鞘腫の1例
松本 亮山崎 繁
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2020 年 81 巻 7 号 p. 1364-1368

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抄録

症例は49歳,女性.神経線維腫症I型(NF1)と診断されていた.急速に増大した骨盤内巨大腫瘍のため腸閉塞症状を呈し,当科へ紹介となった.緊急入院とし,入院翌週に後方骨盤内蔵全摘術を行い直腸腸間膜にある300×250×250mm,2,370gの腫瘍を摘出した.病理組織検査でS-100蛋白はびまん性に陽性であり,c-kitとCD34は共に陰性であることから,類上皮型悪性末梢神経鞘腫(eMPNST)と診断した.術後3カ月で腹腔内に多発する再発腫瘍を認め,手術から6カ月後に永眠した.悪性末梢神経鞘腫(MPNST)は悪性軟部腫瘍の5~10%を占める比較的稀な腫瘍であるが,腸間膜に生じることは非常に稀であり本邦での報告も少ない.今回われわれは,急激に進行した直腸腸間膜由来のeMPNSTの1例を経験したため,これを報告する.

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