日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝外発育型単発性肝膿瘍を併発した中分化型肝細胞癌の1例
伊藤 千尋小橋 研太升田 智也宮本 耕吉羽田野 雅英石井 博
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2020 年 81 巻 7 号 p. 1369-1374

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抄録

肝細胞癌治療に関連して肝膿瘍を発症することは知られているが,治療開始前に肝細胞癌と肝膿瘍が併発する症例は本邦での報告が13例と稀であり,肝細胞癌の診断に難渋することも多い.今回われわれは,肝外発育型の単発性肝膿瘍と肝細胞癌が併発した症例を経験した.C型慢性肝炎の治療目的に紹介された77歳の女性で,初診時の腹部CTにて肝外側区域から尾側に突出する内部低吸収領域を伴う腫瘤を認めた.数日後に心窩部痛と発熱を認め入院し,抗菌薬治療で症状は軽快した.画像上も腫瘤が縮小したため肝膿瘍を疑ったが,一部に造影される充実部分が残存していたため肝悪性腫瘍の併存も疑った.肝左葉切除後の病理組織診断で肝膿瘍を併発した肝細胞癌と診断された.文献的考察を加えて報告する.

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