2021 年 82 巻 11 号 p. 2046-2050
症例は72歳,男性.30代で再生不良性貧血の診断を受け,以降定期的に輸血を行っていた.通院中に単純CTで肝外側区域に単発の腫瘤性病変を指摘された.造影剤アレルギーのため造影CTを施行できず,診断のため肝腫瘍生検を施行,肝細胞癌の診断にて当科へ紹介.著明な汎血球減少を認め,手術リスクは非常に高いと考えられた.しかし,最大腫瘍径3.0cm,造影剤アレルギーのためラジオ波焼灼療法および肝動脈塞栓療法は不適と判断,術前計画的な血小板輸血を行い,腹腔鏡下肝外側区域切除術を行った.術後,大きな合併症なく自宅退院した.現在,術後16カ月であるが,再発なく経過している.再生不良性貧血を伴う肝細胞癌患者では周術期に貧血,出血傾向,易感染性のすべてが問題になるが,関係各科と連携して周術期管理を行うことで出血リスクを抑え治療することができる.