日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発不明左鎖骨上神経内分泌腫瘍が併存した右乳癌の1例
肌附 宏野田 純代横井 一樹間下 優子杉本 博行望月 能成
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2021 年 82 巻 12 号 p. 2123-2129

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抄録

症例は48歳,女性.左鎖骨上に圧痛を伴う腫瘤を自覚し受診.胸腹部CTで左鎖骨上に2cm大の腫瘤と,右乳房外側に造影効果のある腫瘤を認めた.超音波で左鎖骨上に分葉形腫瘤と右乳房CD境界に不整形腫瘤を認めた.右乳房生検は浸潤性乳管癌の診断,左鎖骨上腫瘤穿刺吸引細胞診は悪性疑いの診断であった.右乳癌の左鎖骨上リンパ節への単独転移は積極的に疑わず,左鎖骨上腫瘤切開生検を施行し,neuroendocrine tumor(NET)-G1の診断となった.NET原発巣検索を行ったが原発巣は指摘できなかった.左鎖骨上腫瘍摘出術を行い,NET G2の診断に至った.NET摘出より1カ月後,右乳房切除およびセンチネルリンパ節生検を施行.センチネルリンパ節は右腋窩に存在し,転移は認めなかった.今回,左鎖骨上腫瘍生検を行ったことで乳癌に対して適切な治療ができた.NETは経過観察中,乳癌はタモキシフェン内服治療中で再発なく経過している.

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