日本臨床外科学会雑誌
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症例
上腸間膜静脈血栓症で小腸壊死に至った1例
小峰 楓子荒川 敬一青木 茂雄三島 英行松井 郁一酒向 晃弘
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2021 年 82 巻 12 号 p. 2225-2229

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抄録

74歳の男性が腹痛を主訴に来院した.造影CTで上腸間膜静脈血栓症(SMVT)に伴う腸管壊死と診断し,緊急手術を行った.壊死部位の切除・吻合を行うも,術中に吻合部腸管の血流不良を認め追加切除・再吻合を施行,合計70cmの小腸を切除した.採血から凝固異常は疑われず,過去の上部消化管内視鏡検査で食道静脈瘤が認められていたことから,門脈圧亢進によりSMVTが形成されたと考えられた.術後から低分子ヘパリンで抗凝固療法を開始し,入院中に血栓縮小を確認し術後22日で退院,術後3カ月で血栓の消失を確認した.現在も再発なく,外来で抗凝固療法継続中である.

本症例と日本国内で報告されたSMVT+小腸壊死の症例30例を検討し,一期的/二期的手術の選択,抗凝固療法について考察したため報告する.

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