日本臨床外科学会雑誌
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症例
積極的な切除とpanitumumab再投与が奏効したS状結腸癌肝転移の1例
田中 宏山本 隆嗣大河 昌人宮下 正寛西田 達若狭 研一上西 崇弘
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2021 年 82 巻 12 号 p. 2257-2261

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抄録

症例は61歳,男性.多発肝転移を伴うS状結腸癌(KRAS野生型)に対し,結腸と肝転移一結節を切除した後,panitumumab (Pmab)とirinotecan (IRI)によるdoubletを開始した.15カ月後にCRと判断し休薬したが,6カ月後に肝転移が出現したため薬物療法を再開し,その7カ月後に切除した.その4カ月後にIVC近傍のS7に肝転移が出現し,PmabとoxaliplatinまたはIRIによるdoubletを行ったところ,当初はSDであったが2年3カ月後頃より急速増大に転じたためIVC壁の一部を含む肝切除を施行した.その5カ月後に孤立性肺転移を切除したが,さらに2カ月後に肺,骨,副腎への多発転移が出現したため,Pmab単独の再投与を行ったところ転移巣は縮小した.7カ月後より投与間隔を徐々に広げながら2年10カ月継続しているが,良好なADLと病勢安定が得られている.積極的な外科切除とPmab再投与が奏効し,9年健存中の症例を経験したので報告する.

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