2021 年 82 巻 12 号 p. 2318-2322
症例は77歳,女性.2017年にS状結腸癌の診断でS状結腸切除術を施行し,その後の定期検査として行われた骨盤部造影CTにて,偶発的に第2仙椎から第4仙椎の高さの仙骨前面に腫瘤性病変を指摘された.緩徐な増大傾向を示したため,脂肪肉腫が疑われた.診断および治療の目的でロボット支援下に腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は仙骨前面への浸潤周囲を認め,腸間膜脂肪との境界がやや不明瞭な所見を認めた.病理組織学的診断は,脂肪細胞と骨髄の増生からなる腫瘤で骨髄脂肪腫であった.骨髄脂肪腫は,主として副腎に発生する比較的稀な軟部組織由来の良性腫瘍で,副腎以外の部位に発生する骨髄脂肪腫は極めて少ない.脂肪が主体で,直腸間膜脂肪との境界の判別が困難であった.ロボット支援による安定した高解像の三次元画像,自由度の高い多関節性の手術器具拡大が有用であった症例を経験した.現在までに仙骨部骨髄脂肪腫へのロボット支援下手術の報告はないため,報告する.