2021 年 82 巻 3 号 p. 563-570
症例は28歳,男性.10年ほど前から臍周囲の腹痛を繰り返していた.持続する腹痛のため救急外来を受診,小腸閉塞の診断で入院となった.CTで拡張した小腸と臍右下に長径60mm大の嚢胞状構造物を認めた.卵黄腸管の遺残を強く疑い,待機的に開腹手術を施行した.下腹部正中創の直下に嚢胞を認め,臍部の壁側腹膜と強固に固着していた.さらに,嚢胞と回盲部から口側95cmの回腸を連続する索状物が小腸閉塞の原因となっていた.上腸間膜動脈に沿って腸間膜と嚢胞に連続する索状物も認めた.遺残のないよう嚢胞,索状物を切除した.Meckel憩室は認めなかった.嚢胞の病理組織学的所見では粘膜を含む消化管全層構造,異所性胃粘膜と異所性十二指腸粘膜を認めた.
卵黄腸管遺残ではMeckel憩室が良く知られているが,それ以外の形態での遺残は稀である.今回,卵黄腸管嚢胞とそれに連続する索状物による腸閉塞症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.