日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下局所切除術施行時に標本回収袋が有用であった十二指腸GISTの1例
加藤 岳晴風間 義弘小野山 温那永岡 栄
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2021 年 82 巻 4 号 p. 732-736

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抄録

十二指腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)は稀であり,術式は腫瘍径や局在,発育形式によって様々である.自験例は70歳,男性.健康診断の腹部超音波検査で膵近傍に腫瘤性病変が指摘された.超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を施行したところGISTが検出され,十二指腸GISTの診断で手術の方針となった.腹腔鏡で腹腔内を観察し,十二指腸球部遠位外側に管外発育型腫瘍を認めた.標本回収袋で腫瘍を被覆牽引し,腫瘍根部を十二指腸短軸方向に自動縫合器で切離した.病理結果はlow risk GIST,断端は陰性であった.管外発育型十二指腸GISTは,標本回収袋を切除時から用いることで腫瘍の偽被膜を損傷することなく,腹腔鏡下十二指腸局所切除術が安全かつ簡便に行える可能性が示唆された.

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