2021 年 82 巻 6 号 p. 1180-1187
症例は71歳の女性で,他院で肝嚢胞性病変に対して10年間の経過観察を行い,5年前に経過観察を終えていた.検診異常で当院を受診し,CTで偶然に大動脈周囲リンパ節の腫大を指摘された.明らかな原発病巣が指摘できず,診断目的に切除生検を行った.手術は後腹膜鏡下に行い,術翌日から経口摂取を開始,術後4日目に軽快退院となった.病理検査で腺癌の傍大動脈リンパ節転移と診断され,原発巣検索目的にPET-CTを施行したところ肝嚢胞性病変部に集積を認め,肝内胆管癌が疑われた.かかりつけ医で肝生検が施行され,肝内胆管癌の傍大動脈リンパ節転移の確定診断となり化学療法が開始された.今回われわれは,後腹膜鏡下に切除しえた肝内胆管癌の大動脈リンパ節転移の1例を経験した.本術式は消化器外科医には馴染みの薄い手技だが,傍大動脈リンパ節生検のアプローチ方法の一つとして後腹膜鏡によるアプローチも選択肢となりうると考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.