2021 年 82 巻 7 号 p. 1349-1353
症例は79歳,男性.認知症で施設に入所中であった.腹部手術歴なし.2日前からの発熱精査の単純CTで小腸内に周囲に気泡を伴う異物を疑う所見あり.嘔吐も見られ,腸閉塞の診断で紹介受診.保存治療を行っていたが改善が見られず,5日後に腸閉塞解除目的で腹腔鏡手術を施行.術中所見では腸管癒着はなく,小腸内に異物を疑う所見を認めたため,同部位を切開し異物を摘出した.異物は冷却ジェルシートと考えられた.術後に腸閉塞は改善し,退院となった.冷却ジェルシートは時間をかけて膨張するため,誤飲した場合は小腸で腸閉塞をきたすことが多く,保存的治療では軽快しない可能性が高いと考えられた.
冷却ジェルシート誤飲による腸閉塞は本邦で3例目と極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.